CRM

「買わせる」はもう終わり!顧客が「買いたい」と思うアプローチ

 LTV(Lifetime Value)とは直訳すると「顧客生涯価値」のことで、ビジネスの成長を考える上で、顧客の長期的な価値(LTV)を把握することは非常に重要です。LTVが高い顧客は、継続的な購買やリピート率の向上などにより、ビジネスにとって大きな利益をもたらす可能性があります。
 この記事では、LTVを伸ばすための手法について考えていきます。手法のバリエーションはいくつもありますが、適切に手法を選ばなければ成果は出ません。一度立ち止まって、施策を見直してみましょう。

定期コースへの誘導が一般的

 LTVを伸ばすにはどうすれば良いでしょうか?

 多くの企業は、顧客の継続的な購買を促進するために、定期コースへの誘導を行っています。定期コースは一定期間ごとに商品を定期的に届ける仕組みであり、顧客の継続的な利用を促すための手法です。定期コースは、顧客に利便性や価値を提供することができます。また、企業側にとっても一定の安定収益が見込めるため、ビジネスの安定性を確保するうえで有効です。

 LTVを伸ばすのに最適なように見える定期コースへの誘導。しかし、いつもこれが最善の方法であるとは限りません。例えば、以下のような要素が当てはまるサービスは定期コースが適しません。

定期コースが適さないサービス

  • 一時的なニーズの商品やサービス
    一時的なニーズを持つ顧客には、定期的なコースを契約させるよりも、単発の購入オプションを提供した方が適しています。例えば、特定のイベントやプロジェクトに向けて一時的に必要な特殊なアイテムやサービスを提供する場合、顧客は定期コースを契約することに抵抗を感じる可能性があります。
  • 高額かつ高リスクな商品やサービス
    高額かつ高リスクな商品やサービスに対しては、顧客は慎重に検討することが多いため、定期コースへの誘導が難しい場合があります。顧客はまず初めに試しに購入し、商品やサービスの品質や信頼性を確認したいと考えることが多いでしょう。
  • 購入頻度が低い商品やサービス
    一定期間ごとに頻繁に購入されない商品やサービスに対しては、定期コースは顧客にとってメリットが少ない場合があります。顧客は必要に応じて購入する傾向が強く、定期コースへの継続的な契約は無駄に感じるかもしれません。

これらの商材やサービスでは定期コースが使えないとすると、LTVを伸ばすため、他の観点が必要になってきます。そこで次章からは、新たな観点についてご紹介します。

自分から「買う」選択をさせるプロモーションとは

 LTVを伸ばす上で忘れてはならない観点が、「アップセル」と「クロスセル」です。
 アップセル(Upsell)は、顧客が既に商品やサービスを購入しているする際に、より高額な商品やサービスを提案することを指します。例えば、顧客がスマートフォンを購入した場合に、高性能なモデルや追加のアクセサリーをオファーすることがアップセルです。アップセルの目的は、顧客の購買金額を増やすだけでなく、顧客がより価値を感じる商品やサービスを提供することで顧客満足度を向上させることです。

一方、クロスセル(Cross-sell)は、顧客が既に商品やサービスを購入した後に、関連する別の商品やサービスを提案することを指します。例えば、顧客がノートパソコンを購入した場合に、同じブランドのプリンターや周辺機器をオファーすることがクロスセルです。クロスセルの目的は、顧客のニーズや興味に合った追加商品を提供することで、リピート購買を促進したり、顧客との長期的な関係を構築することです。

 これら「アップセル」「クロスセル」を実現するためには、自分から「買う」選択をさせるプロモーションを考える必要があります。

具体的なアプローチとしては、以下の方法があります。

  • 限定特典の提供
    期間限定の特典や割引を提供することで、顧客に積極的な行動を促します。特典の魅力や利益を明確に伝え、顧客の購買意欲を高めましょう。
  • パーソナライズされたオファー
    顧客の購買履歴や嗜好に基づいたパーソナライズされたオファーを提供します。顧客が関心を持つ商品やサービスを適切なタイミングで提示することで、顧客の自発的な購買行動を促進します。
  • 情報の提供と説明
    商品やサービスの特徴や利点を詳細に説明し、顧客に充分な情報を提供します。顧客が理解し納得した上で購買することで、長期的な満足度を高めることができます。

逆に、以下の様なプロモーションは逆効果です。

  • 強制的な販売プレッシャー
    顧客に対して無理やり販売を押し付けるアプローチは避けるべきです。強引な販売手法や嫌がらせのようなアプローチは顧客の信頼を損ない、逆効果となる可能性があります。
  • 情報の欠如
    顧客が購買するための情報や理由を提供しないまま商品やサービスを提示するのは避けるべきです。顧客は十分な情報に基づいて購買を決断したいと考えています。情報の提供と説明が欠如している場合、顧客は購買に踏み切ることをためらうかもしれません。
  • 価値の欠如
    顧客が購買に対して十分な価値を感じない場合、自発的な購買行動を起こすことは難しいでしょう。商品やサービスの魅力や利益を明確に伝えないまま、購買を促すのは効果が低いかもしれません。

自分から「買う」選択をさせるプロモーションを実施する際には、強制や無理なプレッシャーは避け、顧客に対して十分な情報や理由、魅力的な利益を提供することが重要です。顧客が自ら意欲を持って購買行動を起こすための環境や仕組みを整えましょう。

まとめ

 定期コースへの誘導は一般的ですが、顧客の購買行動やニーズは個別に異なるため、一律のアプローチが必ずしも最適ではありません。
 しかし、定期コースに適さないサービス・市場環境の中で定期コース誘導にこだわり続けていては、「いつまでもLTVが上がらない」と悩み続けることになります。
 顧客のLTVを高めるためには、自分から「買う」選択をさせるプロモーションを検討することが必要です。特典の提供やパーソナライズされたオファー、情報の提供と説明など、顧客が主体的に購買する仕組みを構築することで、長期的な顧客関係を築き上げることができます。最適なプロモーション戦略を検討し、顧客のニーズに合わせたアプローチを行いましょう。

関連記事

DOCUMENTS/CONTACT資料請求・お問い合わせ

当社に関するお問い合わせ・資料請求は
こちらからお願いいたします。