システム開発
これで安心!システム開発会社への外注方法と注意点
RFPとは?
RFP(Request for Proposal)とは、システム開発会社への外注を検討する際に、発注する顧客側から提案を依頼するために提出する書類のことです。RFPは、プロジェクトの要件や目標、予算、スケジュールなどに対する期待を含めた詳細を明し、提案をするシステム開発会社に必要な情報を提供します。正確で具体的なRFPを作成することは、効果的なパートナー選定のために重要です。
記載すべき項目の例
RFPには、以下のような項目を含めることが一般的です。
- 予算とスケジュール
予算の範囲や提案書の提出期限、プロジェクトの進捗スケジュールなどを記載します。 - 要件と期待値
システムの機能や性能、セキュリティ要件、利用環境などを具体的に示します。 - 提案の形式
提案書の形式や提出方法、評価基準などを明確に定めます。この記載が無いと、提案の前提や記載方法がバラバラとなり、複数の候補から得た提案を横並びに比較検討することが難しくなります。
RFPがないとどうなるの?
適切なRFPなしにシステム開発会社への外注を行うと、以下のような問題が生じる可能性があります。
不明瞭な要件定義
RFPがない場合、プロジェクトの要件や目標が明確になりません。開発会社は顧客の要望を正確に理解することができず、システムの仕様や機能に関する混乱や不明瞭さが生じる可能性があります。
予算や納期の問題
RFPがない場合、予算や納期に関する詳細な合意が欠如します。開発会社との契約時に予算や納期を明確に定めることができず、後々のトラブルや予算オーバーのリスクが高まります。もっとも、予算を書いてしまうことで、その金額水準より安い提案をしてもらいにくくなる側面もありますので、自社内でどの程度該当プロジェクトに掛かる工数の相場観を理解できているかで、記載の粒度や有無を検討する必要があります。
期待とのズレ
RFPがないため、顧客の期待と開発会社の提供する成果物や品質との間にズレが生じる可能性があります。顧客のニーズを正確に伝える手段がないため、顧客が求める成果物や品質が得られない可能性があります。
契約上の問題
RFPがないと、契約上の細部や特に重視する条件が明確になりません。価格、保証、納期、品質管理などの契約条件が不明確なまま進行することになり、後々のトラブルや紛争のリスクが高まります。
これらの問題を防ぐため、必須条件を落とさずにRFPを作成することが大切です。
外注する際に気をつけるべき3つのポイント
外注先を選定する際には、次の3つのポイントに注意することが重要です。
①実績と信頼性
外注先の実績や信頼性を確認しましょう。過去のプロジェクト実績や顧客の評価、技術力などをチェックし、信頼できるパートナーかどうかを判断しましょう。
外注先の実績と信頼性を評価する際には、次の4つのポイントをおさえて見ていきましょう。
1. 過去のプロジェクト実績
外注先が過去にどのようなプロジェクトに参加し、どれだけの成功事例があるかを確認しましょう。同じようなプロジェクトを成功させてきた経験がある場合、その分野に精通している可能性が高くなります。実績のある外注先は、成果を出す能力やプロジェクトの管理能力が高いと考えられます。また、プロジェクトが複雑になればなるほど、手戻りが生じやすいポイントや、真っ先に把握しないと最終的な工数を大きく左右する要素が隠れているものです。実績の少ない外注先を選定する際は、コストや納期の大幅なオーバーランの可能性や、それが発生した場合の契約上の手当がより重要になります。
2. 顧客の評価と口コミ
外注先の過去のクライアントからの評判や満足度を調査しましょう。実際にその企業と仕事をしたことのある顧客の意見は、外注先の信頼性を評価する上で重要な指標となります。クライアントが満足している場合、その外注先は信頼できる可能性が高くなります。
3. 技術力と専門知識
外注先の技術者のスキルや資格、経験を評価しましょう。特定の技術や業界に特化した専門知識を持っている外注先は、その分野での問題解決や効果的なソリューション提供が期待できます。プロジェクトの複雑性や規模に応じて、適切な専門知識を持つ外注先を選定することが重要です。また、外注先にその様な人材が「所属しているのみ」では、自社が発注するプロジェクトがその恩恵を受けない可能性もあります。具体的に自社プロジェクトにアサインされて下さる担当者のスキル・経験を把握することが重要です。
4. リファレンスチェック
外注先の提供するリファレンスを確認しましょう。実績や信頼性を裏付ける具体的なデータや実績を提供してもらうことで、その外注先の能力を客観的に評価することができます。リファレンスチェックは適切な判断をする上で欠かせないステップです。
外注先の実績と信頼性を評価する際には、客観的なデータや評価を元に慎重に判断することが重要です。これにより、より適切な外注先を選定し、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
②コミュニケーション能力
良好なコミュニケーションはプロジェクトの成功に欠かせません。外注先が円滑なコミュニケーションを図る体制を持っているか、意思疎通がスムーズに行われるかを確認しましょう。
次の4つのポイントをおさえてやりとりを行うとスムーズです。
1. コミュニケーションのスタイルと言語
外注先とのコミュニケーションスタイルや言語の違いによる課題を事前に把握しましょう。外注先が使う技術用語や業界用語が分かりやすいかどうかを確認することで、意思疎通の障害を最小限に抑えることができます。必要に応じて、文書の翻訳や専門用語の共有を行うことで、円滑なコミュニケーションが実現可能です。また、コミュニケーションの窓口については様々な体制が取られますが、多くの場合窓口となる営業担当者やプロジェクト責任者・マネジャーは自分で手を動かしてプログラミングをしません。彼ら彼女らが顧客のニーズは正確に理解し、必要に応じて技術・専門用語(場合によっては海外の技術担当に伝えるための英語等)に、それらを翻訳できるコミュニケーションスキルの持ち主であることを確認することが重要です。
2. コミュニケーションチャネル
外注先とのコミュニケーションには、メール、チャット、オンライン会議などさまざまなチャネルがあります。プロジェクトの性質や緊急度に応じて、適切なコミュニケーションチャネルを選定しましょう。また、問題発生時の連絡先や対応時間帯を事前に確認しておくことで、トラブルへの対応がスムーズになります。自社で当たり前に使うコミュニケーションチャネルを使ってもらう場合にも、外注先でその利用経験が無く、思わぬトラブルやミスコミュニケーションにつながる可能性もあり、軽視出来ません。
3. 進捗報告と定例会議
プロジェクト進行中の進捗状況や課題、次のステップの報告や定例会議が重要です。外注先がどれだけ頻繁に進捗報告を提供し、定例会議を開催するかを確認しましょう。定期的なコミュニケーションにより、プロジェクトの進行状況を把握しやすくなり、問題を早期に発見・解決できます。自社での進め方より一呼吸テンポ早く、定例会議を行うことを快諾してくれる外注先が望ましいと言えます。
4. コミュニケーションレスポンス
外注先が適切なレスポンスを返すかどうかも重要な要素です。質問や要望に対して迅速かつ適切な回答を提供できるかを確認しましょう。コミュニケーションの滞りがプロジェクトの遅延やミスにつながらないように、迅速なコミュニケーションを実現する外注先を選ぶこともポイントです。遅滞の多いコミュニケーションの裏には、そのプロジェクトに担当者のキャパシティが十分割けていない可能性や、営業担当者やプロジェクト責任者と、技術部隊の連携が上手くいっていない可能性が隠れているかも知れません。
良好なコミュニケーションを持つ外注先は、プロジェクトの進行を円滑にし、意思疎通の問題を最小限に抑えることができます。円滑なコミュニケーションにより、外注先との協力がより効果的になり、プロジェクトの成功につながるでしょう。
③契約条件とサポート体制
契約条件や保証・サポート体制を確認しましょう。価格、納期、品質保証、アフターサポートなどの条件を明確にし、将来的なトラブルへの対応策を含めた契約を締結しましょう。
以下の点を含めて契約条件を慎重に確認しましょう。
- 価格と納期
プロジェクトの費用と納期を明確に定めておき、予算とスケジュールをコントロールできるようにしましょう。
- 品質保証
仕様書に基づいた品質保証やテストが行われることを確認し、納品物が要件を満たすことを保証してもらいましょう。
- アフターサポート
プロジェクトの完了後もサポートが提供されるか、保守契約が含まれるかを確認し、トラブル対応や修正が必要な場合に備えましょう。
- 知的財産権
ソフトウェアやデザインなどの知的財産権についての取り扱いを明確にしましょう。外注先が開発したコードやデザインの所有権がどうなるかを確認し、必要に応じて権利を委譲する契約を含めることが重要です。
- 保守・修正の対応時間
問題が発生した際の対応時間や修正の速さを契約条件に盛り込むことで、トラブル時の対応をスムーズに進めることができます。
また、外注先のサポート体制についても確認しておくと良いです。プロジェクトが進行している間だけでなく、納品後のサポート体制も重要です。問題が発生した際の連絡先やサポート窓口、対応時間帯などを確認し、長期的な信頼関係を築くためのサポートが提供されているかを確認しましょう。
最後に、契約書の作成や内容の確認は専門家の助けを借りることも検討してください。法律的な専門知識が必要となる場合もありますので、契約内容や条件に不明確な点があれば、弁護士や契約担当者と相談し、適切な契約を締結するとリスクを回避できます。
まとめ
RFPを活用することで、システム開発会社への外注を効果的に進めることができます。正確なRFPを作成し、プロジェクトの要件や予算を明確に伝えることが重要です。また、外注先を選定する際には実績と信頼性、コミュニケーション能力、契約条件とサポート体制に注目しましょう。適切なパートナー選定と円滑なプロジェクト進行により、成功を収めることができるでしょう。