オフライン
なぜ今?注目されるオフライン広告
はじめに
オフライン広告とは、デジタル広告ではなく、従来のメディアを活用した広告手法を指します。テレビ、ラジオ、新聞、チラシ、雑誌など、オフライン広告には多様な形態があります。
コロナ禍では、WEBマーケティングへの注目が高まりました。売り上げの低下をカバーしようとWEBマーケティングに予算を回す企業が増えています。
それでは、オフライン広告は時代遅れなのでしょうか……?そんなことはありません。実は、今までにも増してEC事業者、D2C事業者にとってオフライン広告が注目されています。その理由について考えてみましょう。
TAに優れたオフライン広告
EC事業者、D2C事業者がオフライン広告に注目する理由の一つは、ターゲットオーディエンス(TA)の獲得に優れていることです。マーケティングにおけるTAとは、特定の商品やサービスを宣伝・販売する際に、最も効果的な顧客層を定義し、その顧客層を重点的にターゲットにすることを指します。ターゲット・オーディエンスは、商品やサービスを需要のある顧客に効果的に届けるために、広告やマーケティングの戦略を立てる上で非常に重要な要素となります。
ターゲット・オーディエンスの決定は、広告主やマーケティング担当者が行う市場調査やデータ分析に基づいて行われます。主な要素としては以下のようなものが挙げられます。
市場調査やデータ分析の要素
- 人口統計学的特徴
年齢、性別、居住地域、収入などの人口統計学的な要素によって、ターゲット・オーディエンスをグループ分けします。たとえば、特定の商品が特定の年齢層に需要がある場合、その年齢層をターゲットにすることが考えられます。
- 興味・関心
顧客の興味や関心に基づいてターゲット・オーディエンスを定義することもあります。顧客の行動履歴や購買パターンを分析することで、どのような興味を持つ顧客がいるかを把握し、その興味に合ったターゲティングを行います。
- 求める商品に基づくターゲティング
特定の商品やサービスをターゲット・オーディエンスに届けたい場合、その商品やサービスを必要とするであろう顧客を特定します。たとえば、ベビーグッズの広告を見ている顧客には、子供を持つ親が含まれる可能性が高いため、子供を持つ親をターゲットにすることが考えられます。
- 地理的要因
商品やサービスの特性によっては、特定の地域にフォーカスしたターゲティングが有効な場合もあります。例えば、地域によって気候や文化が異なる場合、その地域に適したマーケティング戦略を立てることが重要です。
ターゲット・オーディエンスの明確な定義は、無駄な広告費の削減や効果的なメッセージの発信による反応率向上に繋がります。
オフライン広告も、適切に活用すれば効果的にTAにリーチすることが可能です。いくつか例を挙げてみましょう。
効果的なTAリーチの例
- テレビCM
テレビは多くの人々に視聴されるメディアであり、幅広い層にリーチできます。特定の時間帯や番組に広告を放映することで、ターゲットに合った効果的な広告展開が可能です。
- 雑誌広告
特定の趣味や関心ごとにフォーカスした雑誌に掲載される広告は、ターゲット層に直接アプローチできます。例えば、ファッションブランドがファッション誌に広告を掲載することで、関心のある読者にアピールすることができます。
- イベントスポンサーシップ
地域のイベントやスポーツ大会のスポンサーとなることで、大勢の人々にブランドを露出することができます。会場内やプログラムの広告スペースを活用することで、ターゲットにアピールするチャンスを得ることができます。
TAに合わせて適切な打ち手を選択することで、オフライン広告が大きな効果を発揮することがお分かりいただけたのではないかと思います。
LTVを伸ばすのに最適
オフライン広告の優れた点は他にもあります。ここでは、LTVについて考えてみたいと思います。LTVとは、顧客生涯価値(Lifetime Value)の略称です。顧客生涯価値とは、顧客が企業との関係を継続する期間において、その顧客が企業にもたらす見込まれる収益の総額を指します。顧客を獲得するためのマーケティング活動はもちろん重要ですが、一度獲得した顧客を長期間にわたってリピートさせることができれば、EC事業者、D2C事業者にとっては大きな利益を生み出すことにつながります。
オフライン広告は、EC事業者、D2C事業者が顧客との接点を増やすうえで、多くの利点を持っています。
LTVを伸ばす!オフライン広告のメリット
- ブランド認知度の向上
オフライン広告は大衆に向けて広く展開されるため、広告対象となる人々に直接的にブランドや商品を認知させることができます。特にテレビCMやビルボード広告は、広い層に訴求する効果があります。ブランドの知名度を高めることで、顧客の購買意欲を刺激し、LTVの向上につながります。
- 感情的なつながりの構築
オフライン広告は、映像や音声などを駆使して感情に訴えかけることができます。魅力的なストーリーテリングや映像表現を通じて、顧客との感情的なつながりを築くことが可能です。感情的なつながりがあると、顧客は長期間にわたって企業に忠誠心を持ち続ける傾向があります。
- 地域に密着したマーケティング
新聞広告や地域のイベントでの広告展示など、オフライン広告は特定の地域に集中的に訴求できる特長があります。地域に密着したマーケティングが行えるため、地域の顧客に強いインパクトを与えることができます。
- 非インターネット利用者へのアプローチ
インターネットを利用しない層の顧客にもアプローチするためには、オフライン広告が重要な手段となります。特に高齢層向けの場合や地域によっては、インターネットを活用した広告よりもオフライン広告のほうが効果的な場合があります。
以上のように、オフライン広告はEC事業者、D2C事業者にとってLTVの向上において重要な役割を果たします。ブランド認知度の向上や感情的なつながりの構築、地域に密着したマーケティング、非インターネット利用者へのアプローチなど、オフライン広告の利点を最大限に活かすことで、より多くの顧客を獲得し、長期的な収益の拡大を実現することが可能です。
気になるオフライン広告の予算規模
事業計画やマーケティング予算の見込みを立てる上でも、オフライン広告は適しています。オンライン広告は競合他社との広告入札競争が激化し、広告費用が高騰しています。一方で、オフライン広告は費用対効果が高く地域や媒体によっては競合が少ないため、広告予算をより効果的に活用できます。予算見込の観点から適したメディアの例を挙げてみます。
- ラジオCM
ラジオは比較的広告費用が抑えられるメディアであり、特定の地域やターゲット層にリーチすることができます。ラジオ聴取者に向けて効果的なメッセージを発信することで、顧客の関心を引きつけることができます。
- チラシ配布
地域のスーパーマーケットや商店街などでのチラシ配布は、直接的なプロモーション手法です。商品やサービスの特典や割引情報を掲載し、購買意欲を喚起することができます。
- 地域新聞広告
地域新聞に掲載される広告は、地域住民に直接アプローチすることができます。地域のイベントやキャンペーンの情報を掲載することで、地域の顧客を取り込むことができます。
特にマスメディアの利用は費用が高いのではないかという懸念を持たれる方が多いですが、オフライン広告と一口に言っても安価なものから高価なものまで、バリエーションが多くあります。
少しだけ例をみてみましょう。例えばラジオCM。番組と番組の間に流れる短時間のCMは、放送局や時間帯によっては一回あたり数万円から出稿することができます。非常に手頃ですよね。
一方、予算規模がとんでもなく大きくなることがあるのが、キャスティングです。「どうせラジオやテレビでCMを流すなら、大物をキャスティングしたい!」と考える担当者の方も多いですが、そう簡単にはいきません。例えばある国民的お笑いコンビのキャスティングは、数億もの金額を動かす必要があります。
多くの場合は、上手く手段を選択することでコストパフォーマンス良く広告効果を獲得することができます。広告の目的に合わせてきめ細かな分析を行い、限られた予算で効果を最大化できるよう取り組みましょう。
まとめ
今回は、EC事業者、D2C事業者がオフライン広告に注目する理由を考えてきました。昨今では競合が多く、CPAの高騰が続き、突き抜けにくいオンライン広告と比較し、オフライン広告はターゲットオーディエンスの獲得や顧客生涯価値の向上、事業計画やマーケ予算の見立てにおいて有望な選択肢となります。
テレビCM、雑誌広告、イベントスポンサーシップなど、様々なオフライン広告の手法があります。効果的なオフライン広告の活用により、EC事業者、D2C事業者は競合に差をつけ、成果を上げることができるでしょう。